2015年8月21日金曜日

情報投資を抑制する税制改革

現在の日本では、需要喚起策をとるにしても、長期的な構造改革と整合的なものを探す必要がある。このような条件を満たす政策は、構造改革に資する支出に対して時限的な減税を行なうことである。支出に対して減税するのは、短期的な需要喚起効果を確実なものとするためだ。支出に対する時限的な減税は、支出を前倒しにさせるため、短期的な需要喚起効果が確実に生じるのである。

対象となる支出を日本経済の長期的な成長に寄与するものに限定すれば、それによって構造改革が促進される。つまりこの政策は、短期的な需要喚起効果と、長期的な構造改革を同時に実現するものなのである。対象となる支出としては、パソコンやその周辺機器などのOA機器が考えられる。専用回線などのインターネット関連投資を含めることも考えられよう。また、ファクスやコピー機などの伝統的なOA機器を含めてもよい。これによって、SOHOを後押しすることができるだろう。現在の税制でもこれらは経費として控除できるが、減価償却資産とされるために、単年度の費用はさほどの額にはならない。そこで、これらについての初年度全額償却を認めることとするのである。

一般のサラリーマンに対して同様の措置をとることも考えられる。この場合には、パソコンなどのほかに、書籍、研修などの能力向上支出も含めることとする。これらについて、医療費控除と同様の仕組みで控除を認めるのである。一九九九年度には、本体と周辺機器の合計額が一〇〇万円未満の新品の情報機器を購入した場合、一括償却ができることとされている。ただし、この制度は、法人でなければ利用できない。

また、一台ごとに資産管理しなければならない煩わしさがある。パソコンをはじめとする情報関連投資において、日本の立ち遅れか指摘される。その原因として、税制上の扱いも、無視できない要因になっている。パソコンなどの機器は、所得税や法人税では減価償却資産とみなされ、通常であれば六年間の定額償却をすることとされている。