2016年2月16日火曜日

薬価基準制度の仕組み

医療技術、「もの」、施設経営のための費用が渾然として評価されており、バランスを欠いたものになっていること。出来高払いのため、過剰診療や長期入院等の漫然診療に陥りやすいこと。診療所と病院の区別、外来と入院の区別が明確になされておらず、施設の形態や治療の形態の相違による費用が完全には保障されていないこと。

診療報酬制度のあり方は、医療費の増減に大きな影響を与えます。改革の方法として有力視されるのは、包括払い制度の導入です。現在でも高齢者医療の一部で導入されています。出来高払いには、過剰診療を生みやすいという欠点がある一方、包括払いには、どのような医療を行ってもあらかじめ決まった定額しか支払われませんので、医師会などは粗診粗療(粗雑な診療・粗雑な治療)を促すと批判しています(※DRG・PPS参照)。

出来高払いと包括払いが適切な治療分野はどのような分野でしょうか。一般論としては、出来高払いは急性疾患に、包括払いは慢性疾患に対応することが適切でしょう。ただし、疾病ごとに細かく決めていく必要があります。

慢性疾患の増大という疾病構造の変化や医療技術の進歩を適切に反映していない、との批判に応えるためには、包括払い制度の導入に加えて、診療報酬に技術料をきちんと位置づける必要があります。医者の技術とは何か、技術評価のあり方をどう決めるか、などクリアしなければならない課題は多いのですが。

わが国の医療費の特徴は薬剤費比率が、諸外国に比べて高いことです。約二割にも達しています。一時は三割近くありましたが、薬剤費適正化の取り組みで二割程度に徐々に低下してきました。一部の患者には飲みきれないほどの薬が与えられ、捨てる患者も多いようです。大きなムダが薬の世界にはありそうです。薬漬け治療の弊害が現れているのです。なぜ、薬が多く使われてしまうのでしょうか。医療機関で使う薬の価格の決め方にその原因があります。