北朝鮮の核とミサイルの脅威が顕在化した今、日米同盟を強化し、防衛協力の実効性と抑止力を高める必要がある。同盟の重要性は、北朝鮮問題だけにあるのではない。
世界不況や地球温暖化、エネルギー問題への対応、オバマ大統領の提唱する核軍縮、さらに大国化する中国との中長期的関係を展望するうえでも、強固な日米関係の構築が日本の国益にかなう。
自民、民主両党は衆院選の政権公約で、ともに日米同盟を日本外交の基軸と位置づけている。だが、その中身は大きく異なる。
自民党は、同盟強化の具体策として、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や米軍艦船の防護を行うため、長年の懸案である集団的自衛権の行使を一部容認する方針に踏み込んだ。歓迎したい。
日本は現在、米国向けミサイルの迎撃能力を持たないため、実際には将来の課題だが、憲法上できないという姿勢に固執していては同盟関係が揺らぎかねない。
政府の憲法解釈の見直しや安全保障基本法の制定に、与野党が超党派で取り組むことが大切だ。日米同盟の強化は、単に米国の要求・要望に従うという受動的外交では実現しない。日本が問題解決の手段を積極的に考え、提案したうえ、国力に応じた役割を果たす能動的外交が重要となる。
民主党は公約で、「緊密で対等な日米同盟関係」を標榜(ひょうぼう)し、「米国と役割を分担しながら日本の責任を果たす」と明記した。
だが、「対等」とは、どんな関係で、いかなる役割と責任を果たすのか。最も肝心な部分への言及がない。政権交代後に考えるというのでは、あまりに無責任だ。軍事的に米国と対等な国は存在しない。
米国の同盟国は、それぞれが可能な範囲で国際安全保障上の役割を懸命に担っている。アフガニスタンでは、四十数か国が計1300人超の犠牲に耐え、「テロとの戦い」に従事している。はるかに安全なインド洋での海上自衛隊の給油活動さえ終了させるという民主党の方針では、「対等な同盟」は成り立つまい。
民主党は、日米間で合意した米海兵隊普天間飛行場の沖縄県内移設を県外・国外移設に見直すよう主張する。だが、沖縄県は、県内移設自体は容認し、移設場所の微修正を求めているにすぎない。移設見直しは、過去13年間の交渉・合意の白紙化を意味し、日米の信頼関係を深く傷つけよう。
2012年4月18日水曜日
2012年4月11日水曜日
地方分権 権限移譲の各論こそ肝心だ
全国知事会による争点化戦略の効果であろう。地方分権改革が衆院選でかつてないほど関心を集めている。国と地方の役割分担を見直し、国の権限や財源を地方に移すのが分権改革だ。麻生首相は「内閣の最重要課題」と位置づけるが、権益を守りたい省庁や族議員の抵抗のため停滞感が漂う。
現状打破を狙う大阪府の橋下徹知事らの先導で、全国知事会が与野党の政権公約(マニフェスト)の点数評価という攻勢をかけた。これに押されて、各党とも分権重視の姿勢を打ち出した。改革推進の格好の機会だ。肝心なのは、総論でなく各論である。各党は具体策を競ってほしい。
当面の焦点は、政府の地方分権改革推進委員会が出した勧告の扱いである。地方への権限移譲、国の出先機関の統廃合、地方行政を法令で縛る「義務付け・枠付け」の大幅緩和などだが、どこまで実現できるかは不透明だ。
自民党は、勧告を実現するための新地方分権一括法案の今年度内成立を期すとした。だが、どの権限を移し、どの出先機関を統廃合するのか、精査されておらず、具体性と説得力を欠いている。
「地域主権国家」を唱える民主党は、国からのひも付き補助金を廃止し、使途を限定しない一括交付金に組み替えるという。地方の自由度を高める狙いは良いが、教育・社会保障費を公共事業などに流用させない歯止めも必要だ。
出先機関の「原則廃止」という主張も、あまりに乱暴すぎ、かえって各論を検討していない未熟さを露呈している。道州制について、自民党は、基本法の制定後「6~8年」と導入時期を明示した。公明党も「概(おおむ)ね10年後」と足並みをそろえた。これに対し、共産党は導入に反対し、社民党も否定的な立場だ。
民主党は、基礎的自治体(市町村)の強化を優先するが、その先の国家像が明確ではない。道州制志向なのか、都道府県制の維持なのか、説明が不可欠だろう。ただ、道州制については、知事会内でも賛否が分かれており、国民的合意は形成されていない。中長期的課題である道州制の検討ばかりが先行し、肝心の地方分権が滞っては本末転倒である。腰を据えた議論が必要だ。
分権に欠かせない地方への税源移譲に関しては、自民、民主両党とも数値目標を示していない。分権は、国のかたちを変える大事業だ。税財源の本質論を避けるなら改革姿勢に疑問符がつく。
現状打破を狙う大阪府の橋下徹知事らの先導で、全国知事会が与野党の政権公約(マニフェスト)の点数評価という攻勢をかけた。これに押されて、各党とも分権重視の姿勢を打ち出した。改革推進の格好の機会だ。肝心なのは、総論でなく各論である。各党は具体策を競ってほしい。
当面の焦点は、政府の地方分権改革推進委員会が出した勧告の扱いである。地方への権限移譲、国の出先機関の統廃合、地方行政を法令で縛る「義務付け・枠付け」の大幅緩和などだが、どこまで実現できるかは不透明だ。
自民党は、勧告を実現するための新地方分権一括法案の今年度内成立を期すとした。だが、どの権限を移し、どの出先機関を統廃合するのか、精査されておらず、具体性と説得力を欠いている。
「地域主権国家」を唱える民主党は、国からのひも付き補助金を廃止し、使途を限定しない一括交付金に組み替えるという。地方の自由度を高める狙いは良いが、教育・社会保障費を公共事業などに流用させない歯止めも必要だ。
出先機関の「原則廃止」という主張も、あまりに乱暴すぎ、かえって各論を検討していない未熟さを露呈している。道州制について、自民党は、基本法の制定後「6~8年」と導入時期を明示した。公明党も「概(おおむ)ね10年後」と足並みをそろえた。これに対し、共産党は導入に反対し、社民党も否定的な立場だ。
民主党は、基礎的自治体(市町村)の強化を優先するが、その先の国家像が明確ではない。道州制志向なのか、都道府県制の維持なのか、説明が不可欠だろう。ただ、道州制については、知事会内でも賛否が分かれており、国民的合意は形成されていない。中長期的課題である道州制の検討ばかりが先行し、肝心の地方分権が滞っては本末転倒である。腰を据えた議論が必要だ。
分権に欠かせない地方への税源移譲に関しては、自民、民主両党とも数値目標を示していない。分権は、国のかたちを変える大事業だ。税財源の本質論を避けるなら改革姿勢に疑問符がつく。
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