2014年5月23日金曜日

糖尿病に関する教育

退院した日に海外出張、天ぷらが無性に食べたい(男性・初診時六〇歳)Oさんは商社マン、最低二ヶ月に一回は海外出張という生活を送っています。一九九〇年(五五歳)頃から検診で糖尿病を指摘されていましたが、放置していました。九五年八月(六〇歳)当科初診。一七一センチ、七五キロ、空腹時血糖値二六四。眼底検査を行ったところ、眼科医の診断は「かなり進行した糖尿病性網膜症が認められ、早急に光凝固治療が必要」という厳しいものでした。

九月に一八日間入院、血糖のゴッドロール、糖尿病に関する教育、食事指導を行い、併行して眼科で網膜症の治療、退院した日に海外出張という忙しいスケジュールでした。退院後は非常に熱心に食事療法と運動療法に取り組んでいました。自宅が病院の近くということもあって、夕方になると運動療法のために病院の廊下を黙々と歩いているのを何度も見かけました。

頻繁な海外出張にもかかわらず、糖尿病のコントロールか非常に良い状態が二年間続き。体重七二キロがキープされていました。しかし九七年七月頃から体重が増えはじめ、一〇月七六キロ、九八年二月八〇キロとなってしまいました。当然血糖値も高くなっていたので、何か生活で変わったことはないか質問したところ、最近接待で飲むアルコールの量も増えているし、天ぷらが無性に食べたくなり、かなり食べている、運動もついついおっくうになって少ない、との返事でした。

油ものは血糖か上るので食べない方がよいと分かっていても、二年間も我慢すれば食べたくなるのも当然だと思います。また運動療法を継続するのがいかに難しいかを教えられた症例でもあります。「ほどほど」というさし加減をどの辺にすべきか。非常に難しい問題です。

2014年5月3日土曜日

貸付金債権を現地通貨による出資金(エクイティ)にスワップするケース

このように貸付金債権(デッド)を現地通貨による出資金(エクイティ)にスワップしてしまったケースも現実にあり、またさらにニューヨークで途上国株式を対象に組み入れた投資信託が近年数多く発売され、これによって先進国資金が途上国へ事実上還流するスキームが成立したと説く者もある。またブラジル等は強力に推進の方針である。

しかし、これらのケースが大規模に発生しない限り成功であり、例外案件扱いとしてよいのであって、それぞれ1000億ドルに近い対外債務をもつメキシコなりブラジルなりが、その累積債務の大半をエクイティースワッピンクで整序できるはずもない。

また公的債務がスワップの対象である限り、たとえばブラジルなりメキシコなりの公私産業に対して大規模な外国資本の支配をゆるすこととなって、別の次元つまり、ナショナリズムなり、排外的国民感情を刺激するなどの問題が発生する懸念がある。

さらに、貸出し側(某銀行)にしても巨大な貸倒れ化または一部貸金の切捨てというハードルを超えねばならないであろう。また、このような安易な方法があるとして再び放漫借入れを債務国側に助長することとなる。こうして、このような新方式の一般化はいうべくして事実上困難な道である。