2014年5月3日土曜日

貸付金債権を現地通貨による出資金(エクイティ)にスワップするケース

このように貸付金債権(デッド)を現地通貨による出資金(エクイティ)にスワップしてしまったケースも現実にあり、またさらにニューヨークで途上国株式を対象に組み入れた投資信託が近年数多く発売され、これによって先進国資金が途上国へ事実上還流するスキームが成立したと説く者もある。またブラジル等は強力に推進の方針である。

しかし、これらのケースが大規模に発生しない限り成功であり、例外案件扱いとしてよいのであって、それぞれ1000億ドルに近い対外債務をもつメキシコなりブラジルなりが、その累積債務の大半をエクイティースワッピンクで整序できるはずもない。

また公的債務がスワップの対象である限り、たとえばブラジルなりメキシコなりの公私産業に対して大規模な外国資本の支配をゆるすこととなって、別の次元つまり、ナショナリズムなり、排外的国民感情を刺激するなどの問題が発生する懸念がある。

さらに、貸出し側(某銀行)にしても巨大な貸倒れ化または一部貸金の切捨てというハードルを超えねばならないであろう。また、このような安易な方法があるとして再び放漫借入れを債務国側に助長することとなる。こうして、このような新方式の一般化はいうべくして事実上困難な道である。