2012年5月1日火曜日

イベントが、古屋敷の現状を知ってもらうきっかけになる

過疎化で集落内の古民家が崩壊の危機にある山形県上山市大門の古屋敷地区に活気を呼び戻そうと、俳優の田中邦衛さんを招いたイベント「古屋敷村シネマトーク’09」が28日、同地区の集会所「谷川の庄」で開かれた。

県内をしばしば訪れている田中さんは、出演作品などの秘話を披露。約80人の来場者は、日本の原風景が残る山あいで、ゆったりとした一時を過ごした。

同地区は、1984年にベルリン国際映画祭の国際批評家賞を受けたドキュメンタリー映画「ニッポン国・古屋敷村」(小川紳介監督)の舞台として知られる。住民が約150人いた明治時代から残る古民家など約20棟のうち、現在常住は2世帯のみ。無人になった民家は傷みが激しく、保存や活用が課題となっている。

イベントは、市民有志でつくる「古屋敷村の保存を考える会」が主催。昨年9月に次ぐ開催で、山形市出身の映画評論家、荒井幸博さんを通じて田中さんに出演を依頼した。

田中さんは畳敷きの会場にどてら姿で登場。黒沢明監督の作品に初出演した時、1回目の演技で「OK」をもらい「口笛吹いて帰った」とうれしそうに話した。ドラマ「北の国から」の名セリフも実演し、来場者を喜ばせた。

かやぶき屋根などの景観を守る活動と並行し、年2回ほどイベントを行いたいという。メンバーの斎藤真朗さん(43)(上山市南町)は「イベントが、古屋敷の現状を知ってもらうきっかけになる」と手応えを感じていた。