2012年4月18日水曜日

日米同盟 責任分かち信頼を強化せよ

北朝鮮の核とミサイルの脅威が顕在化した今、日米同盟を強化し、防衛協力の実効性と抑止力を高める必要がある。同盟の重要性は、北朝鮮問題だけにあるのではない。

世界不況や地球温暖化、エネルギー問題への対応、オバマ大統領の提唱する核軍縮、さらに大国化する中国との中長期的関係を展望するうえでも、強固な日米関係の構築が日本の国益にかなう。

自民、民主両党は衆院選の政権公約で、ともに日米同盟を日本外交の基軸と位置づけている。だが、その中身は大きく異なる。

自民党は、同盟強化の具体策として、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃や米軍艦船の防護を行うため、長年の懸案である集団的自衛権の行使を一部容認する方針に踏み込んだ。歓迎したい。

日本は現在、米国向けミサイルの迎撃能力を持たないため、実際には将来の課題だが、憲法上できないという姿勢に固執していては同盟関係が揺らぎかねない。

政府の憲法解釈の見直しや安全保障基本法の制定に、与野党が超党派で取り組むことが大切だ。日米同盟の強化は、単に米国の要求・要望に従うという受動的外交では実現しない。日本が問題解決の手段を積極的に考え、提案したうえ、国力に応じた役割を果たす能動的外交が重要となる。

民主党は公約で、「緊密で対等な日米同盟関係」を標榜(ひょうぼう)し、「米国と役割を分担しながら日本の責任を果たす」と明記した。

だが、「対等」とは、どんな関係で、いかなる役割と責任を果たすのか。最も肝心な部分への言及がない。政権交代後に考えるというのでは、あまりに無責任だ。軍事的に米国と対等な国は存在しない。

米国の同盟国は、それぞれが可能な範囲で国際安全保障上の役割を懸命に担っている。アフガニスタンでは、四十数か国が計1300人超の犠牲に耐え、「テロとの戦い」に従事している。はるかに安全なインド洋での海上自衛隊の給油活動さえ終了させるという民主党の方針では、「対等な同盟」は成り立つまい。

民主党は、日米間で合意した米海兵隊普天間飛行場の沖縄県内移設を県外・国外移設に見直すよう主張する。だが、沖縄県は、県内移設自体は容認し、移設場所の微修正を求めているにすぎない。移設見直しは、過去13年間の交渉・合意の白紙化を意味し、日米の信頼関係を深く傷つけよう。