2012年4月5日木曜日

恒久平和調査局

日中両国の有識者による歴史共同研究の報告書発表が、中国側の意向で急遽延期されることになった。日中外交筋が2日、明らかにした。歴史共同研究は、両国政府が主導する形で進められ、日本外務省は4日に記者発表する予定だった。民主党が歴史認識問題で中国の意向に配慮する方針を示しているため、鳩山政権発足を待って報告書をまとめた方が有利だと、中国側が判断したものとみられる。

関係者によると、報告書は昨年夏にまとめる予定だったが、民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件や中国国内の「反日教育」などの記述をめぐって意見が対立。日中戦争については、中国側が日本の侵略と明記するよう求めたのに対し、日本側は戦争の原因を特定するのは困難と主張。双方の主張を併記する方向で、報告書を発表する予定だった。

しかし、発表直前になって中国側から「『総括』の部分など、最終的なとりまとめには打ち合わせが足りない」と延期を求める連絡が日本側にあったという。

7月に発表した政策集「INDEX 2009」で、過去の日本の「罪」を追及する「恒久平和調査局」設置や「戦後諸課題の解決に取り組む」と明記している。このため、鳩山政権発足を待った方が、より自らの主張を報告書に反映できそうだと、中国側が判断したとみられる。中国政府関係者は「(政権交代で)自民党政権との共同研究ではなくなったのだから、民主党とすり合わせが必要だ」としている。報告書とりまとめの時期は未定という。