2012年4月1日日曜日

神殿遺跡の中央基壇にある竪穴状の墓穴

南米ペルー北高地のアンデス山中パコパンパ遺跡を調査している国立民族学博物館(大阪府吹田市)などのグループが、紀元前900年ごろの墓から、女性とみられる人骨と南北アメリカ大陸で最古級の金の耳輪などの副葬品を発見した。

女性は、古代アンデス文明の祭祀(さいし)にかかわった権力者の可能性が高いという。調査チームリーダーの関雄二・国立民族学博物館教授が5日、明らかにした。

遺跡はペルー北高地のカハマルカ県チョタ郡の標高約2500メートルにあり、民博とペルー国立サン・マルコス大が合同で調査を進めていた。

関教授によると、神殿遺跡の中央基壇にある竪穴状の墓穴(約1メートル四方で、深さ約1.9メートル)から人骨のほか、金製耳輪1対(直径6センチ)と金製耳飾り1対(25×11センチ)、貝製装飾品などの副葬品が出土した。

年齢は20代後半から50代くらい。身長は155センチほどで、当時の男性の平均身長より高いという。また、アンデス山中ではクントゥル・ワシ遺跡でも金製品が出土しているが、これだけ大きな耳飾りを伴った女性の墓は見つかっておらず、南北アメリカ大陸でも最古級の金製品とも見られている。

アンデス文明初期は、比較的平等な社会だったが、次第に神殿での儀礼など宗教面をつかさどる集団が権力を掌握していったと考えられている。今回見つかった女性は、日本古代の卑弥呼のような祭祀をつかさどった権力者だった可能性が高いという。